泣き入り引きつけってなに?
あかちゃんが大泣きして、次の瞬間――息を止め、真っ青になって、ぐったりしてしまう。
このようなエピソードを目の当たりにすると、多くの保護者は「このまま息が止まるんじゃないか」と強い不安に襲われます。
実はこれは、医学的に「泣き入りひきつけ(憤怒けいれん)」と呼ばれる発作のひとつ。
とても怖く見えるものの、多くの場合は自然におさまり、後遺症を残さないものです。
正しく知っておくことで、いざというときに慌てず対応できるようになります。
泣き入りひきつけってなに?
泣き入りひきつけは、生後6か月〜4歳ごろの子どもによく見られる一過性の発作です。
強く泣いて呼吸が止まり、一時的に意識を失ったり、けいれんが起こったりします。
典型的な流れは次のようなものです。
- 強く泣く
- 息を吸い込んだまま、声が出なくなる(呼気停止)
- 顔が真っ青になる
- 意識が一瞬なくなる、体がぐったりする
- けいれんのような動きが出ることもある
- 数十秒以内に自然に呼吸が戻り、回復する
なぜ起こるの?
主な原因は「泣きすぎて息継ぎができないこと」。
泣きすぎて息を吸ったまま止まってしまい、脳に酸素が一瞬足りなくなることで意識を失ったり、けいれんが起こることがあります。
これはてんかんとは異なるメカニズムです。(脳波での異常はありません!)
多くの場合、成長とともに自然に起こらなくなります。
どう対応したらいいの?
見た目はとても驚くものですが、基本は落ち着いて見守ることが大切です。
- 安全な場所に寝かせる
転倒などによるけがを防ぐため、横向きまたはあお向けで寝かせます。 - 衣服をゆるめ、気道を確保する
首まわりを圧迫しないようにします。 - 呼吸の再開を確認する
ほとんどは1分以内に自然に呼吸が戻ります。 - 口の中にものを入れない
舌をかまないように…と何かを入れるのは逆に危険です。 - けいれんがあっても、まずは経過を観察
短時間でおさまることが多いです。
受診が必要になる場合
基本的には自然におさまる泣き入りひきつけですが、次のようなときは受診が必要です。
- けいれんが 5分以上 続く
- 意識の回復が遅い
- これまでと違う様子(初めて起こった、頻発するなど)
泣き入りひきつけと似た症状で、別の病気(てんかんや心疾患など)が隠れている場合もあるため、初回は必ず医療機関で確認しておくと安心です。
また、発作頻度が多い場合などは、漢方薬を使ったり、鉄剤を飲ませることで発作頻度を減らすことができると言われています。ご相談ください!
予防のためにできること
泣き入りひきつけは、完全に防ぐことはできませんが、ある程度リスクを下げる工夫はできます。
- 強い感情が高まったときに、早めに抱きとめて気持ちを落ち着かせる
→落ち着く”何か”、を用意しておく。 - 泣いても慌てず、落ち着いた声で安心させる
まとめ!
泣き入りひきつけは、呼吸が止まり真っ青になるため、初めて経験した保護者が救急車を呼ぶことも少なくありません。びっくりして当然のことです。
でも、正しい知識を知っておけば、
「これは命にかかわるものではない」「呼吸は戻る」「安全を確保して見守ればいい」
と判断できるようになります泣き入りひきつけは、幼児期によくある一過性の発作で、多くは自然におさまり、後遺症も残しません。
最も大切なのは、慌てず安全を確保することです。
