離乳食

9ヶ月〜1歳:スプーンは嫌がってのけぞるけど、せんべいは食べるとき

Sachiko

よくあるお悩み

「あかちゃんせんべいは自分で上手に食べるのに、スプーンであげるとのけぞって嫌がるんです….」

これは“食べるのがイヤ”なのではなく、「自分で食べたい!」という発達のサインです。

どう対応すればいい?

① 無理にスプーンを続けない

嫌がってのけぞる時期に、無理にスプーンを押し込もうとすると、
「食事=イヤな時間」と感じやすくなります。一旦“スプーン休憩”を取りましょう!
“食べる力”を伸ばすためには、「主体性」を尊重することが必要です。

② 自分で食べられる環境を整える(BLW的発想)

すべりにくいお皿やを使って(もしくはなくても良いかもしれません)、手づかみできるメニューを用意してみましょう!
例えば…(月齢に応じて)スティック野菜、やわらかいおにぎり、卵焼きスティックなどです。

BLW(Baby-Led Weaning)とは、赤ちゃん主導で食事を進める方法。
大人が与えるより、赤ちゃんが自ら選び・触って・食べる体験を重視します。

③ 食卓の“空気”を楽しそうに

ママや家族が「これ、おいしいね〜」と
楽しそうに食べている姿は、あかちゃんにとって最高の教材です。
興味を持つのは、説明より“雰囲気”。
スプーンを嫌がるときこそ、
「一緒にごはんを楽しむ時間」に切り替えてみましょう。

④ 欲しそうにしたら、少しだけ前に置いてみる

あかちゃんが手を伸ばしたら、
そっと優しく前に置いてあげましょう。
自分でつかんで口に運ぶ——それが“食べる練習”の第一歩。


ここで大事なのは、あれこれ指図しないこと。(遊びません、とか、落とさない、とか、ですね。言いたくなってしまうかもしれないけれど、、、)

あかちゃんはしばらくしたら飽きてしまいます、そうしたら、別のもので
また、美味しそうに楽しそうに食べながら、あかちゃんに分ける、ということをしてみてください。

スプーン拒否の時期と発達の関係

スプーンを嫌がるのは、実は多くの赤ちゃんが通る自然な発達の過程
9-11ヶ月の時期以外にも起こり得ます。

時期よく見られる反応対応のポイント
6〜8か月スプーンの感触を嫌がる、のけぞるスプーンの素材や形を見直す・無理せず一時休止
9〜11か月手づかみしたい・スプーンを拒否BLW的環境を整え、自分で食べる経験を重視
1歳〜1歳半自己主張・イヤイヤ期の再燃押さえつけず、食事を楽しい時間に

この流れは、厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019)」にも示されており、
「9〜11か月頃には手づかみ食べを始め、自分で食べたい意欲が出てくる」
とされています。

また、米国小児科学会(AAP)でも

“Around 9–12 months, babies may prefer to feed themselves rather than being spoon-fed.”
(9〜12か月頃になると、スプーンで食べさせてもらうより自分で食べることを好む)

と述べられています。

つまり、“スプーン拒否”は「手づかみ食べで自分で食べていくきっかけ」を示してくれている可能性が高いんです!

スプーン拒否が長引いたときのチェックリスト

スプーン拒否は一時的なことが多いですが、
もし2か月以上続いている・食べる量が極端に少ない場合は、
次のポイントをチェックしてみましょう。

チェック項目見直しポイント
スプーンの形・素材金属や硬い素材が苦手な子も。柔らかいシリコン製に変えてみる。
姿勢背もたれに倒れすぎていない? 足がブラブラしていない?(安定姿勢が大切)
タイミング授乳直後でお腹いっぱい? 眠い・機嫌が悪い時間帯ではない?
食形態/味ドロドロ過ぎ・固すぎなど、舌の動きに合っていない可能性。少し粒を残すなど調整。
薄味過ぎ、濃過ぎなどもあるかも….
口腔機能舌を前に出す、唇を閉じられない、咀嚼リズムが不安定な場合は口腔発達の段階を要確認。
栄養状態体重増加・鉄欠乏傾向など、栄養評価を小児科でチェック。


このように乳幼児期いつ起きてもおかしくないスプーン拒否ですが
「食べない=悪いこと」ではなく、まずは“今の発達段階に合ってるのかな?”と考えるのがポイントです。
姿勢・食形態・雰囲気を整えてみてください。
次の週には食べ方がガラッと変わることも珍しくありません!!

まとめ

スプーンを嫌がるのは発達の証!
「自分でやりたい」気持ちを大切にしながら、
環境を整えてあげれば、自然とスプーンにも戻ってきます。

焦らず、食事を“楽しい時間”として守ってあげましょう。
それが一番の近道です。

ABOUT ME
ぐんぐん院長サチコ
ぐんぐん院長サチコ
みなさんの一番近くにいる地域の「かかりつけ」小児科専門医。
20年以上小児診療に携わりながら、3人の子育てをしてきました。

子どもの年齢とともに、気になることや悩みも変化していく。
親も子どもと共にバージョンアップしていくことは必要不可欠です。

だからこそ、子育て中に知っておいた方がよいこと、 育児書にはないけれど大切なこと、
いろんな情報が溢れていて困った、、、というときに 正しい知識をサクッと知れる「メモ帖」みたいなのが作れたらいいなと思ってます。

少しずつの記事の更新ですが、楽しみにしていてくださいね。
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