日本脳炎ワクチンの早期接種をお勧めしています!【ワクチンの最近の話題】
これから少しずつ、特にあかちゃん育児をされている皆さんに知っておいていただきたいワクチンに関する最近の話題を書いていきますね。
今日はまず、日本脳炎ワクチンの接種開始年齢を6か月からに変更したというお話。推奨時期を早めた理由等、日本脳炎ワクチンについてお話していきます!
日本脳炎ってどんな病気?
日本脳炎は、ブタが感染し、蚊(主にコガタアカイエカ)が媒介して、人に感染する感染症です。
感染した人の多くは軽症〜不顕性感染(症状が出ない)で済みますが、
一部の方で脳炎を発症し、
・高熱
・けいれん
・意識障害
といった重い症状につながることがあります。
重い後遺症が残ることもあるため、「予防」がとても重要な病気なんです。
日本では年間数例の発症がある程度ではありますが、
実は世界にはまだまだ日本脳炎の発生は多く、年間6万8千人(東アジア、東南アジア、インド西部、オーストラリア北部)の患者発生があるとされています。
なぜ6か月から接種するの?
日本では日本脳炎の感染リスクを評価するために、毎年日本脳炎抗体保有状況調査が行われているのですが…
2024年度の調査では、抗体保有率が全国的に上がっており、日本脳炎の感染リスクが上がっていることが報告されました。

もともとは九州、四国地方で抗体保有率が高かったのですが、2024年のデータを見ると、西日本〜関東まで広がってきているのがわかります。
日本の定期接種では、「3歳から」が標準接種年齢とされていますが、
日本小児科学会からは、「日本脳炎流行地域に渡航・滞在する小児、最近日本脳炎患者が発生した地域・ブタの日本脳炎抗体保有率が高い地域に居住する小児に対しては、生後6ヶ月から日本脳炎ワクチンの接種を開始することが推奨される」と
発表しています。
つまり、近畿地方も含め、西日本のブタの抗体保有率が高い地域では、より早い接種を推奨されると解釈でき、当院でも早期予防を重視する方針に切り替えました。
特に外遊びや屋外で過ごす時間が多いご家庭にとって、生後6か月〜1歳前後の赤ちゃんは蚊に刺されやすい時期でもあります。早めの接種だと安心ですね。
接種スケジュール
当院では、以下のスケジュールで接種を行います。
- 1回目:BCGの後、生後6か月
- 2回目:1回目から4週間後、生後7ヶ月(B肝3回目と一緒に)
- 3回目(追加):概ね1年後(水痘2回目と一緒に)
※接種時期はお子さんの体調や他の予防接種との兼ね合いで調整可能です。
安全性と副反応
日本脳炎ワクチンは長い実績があり、安全性も高いワクチンです。
副反応としては接種部位の赤み・腫れ・発熱がみられることがありますが、多くは軽度で自然におさまります。
重い副反応はまれです。ご不安な点があれば、接種前に医師にご相談くださいね!
まとめ!
今年は10月に入ってもまだまだ気候が落ち着かず、暑い日も多いですね…
そんな気候の影響か、まだまだ「蚊に刺される」時期が続いています!
そして、「虫刺されで腫れる」との保護者の声もまだまだよく聞きます。
日本脳炎にかからないためには、「刺されない」のがもちろん一番の感染予防なのですが、虫除けなどを使っても限界があることも….
虫よけ対策に加えて、ワクチンでしっかりと予防しておくことは、お子さんを守る大切な一歩です。
何か心配なことがある方は外来で声をかけてくださいね!
また今後、
アブリズボ(RSVを守るワクチン)
今シーズン大流行の百日咳ワクチン
妊娠前のMRワクチン
などについてお話していきますね。
