おしゃぶりは「子育ての味方」でもあるけれど
あかちゃんがくわえる小さなおしゃぶり。
泣いていたのにスッと落ち着く姿に、その威力を感じたことのある方もいらっしゃるかもしれません!
おしゃぶりは上手く使えば、あかちゃんを落ち着かせることのできる
ママの強い味方。
でも、1歳前後になると、「子育ての味方」だったおしゃぶりも、卒業を意識するべき時期になってきます。
いつまでいいの?どうして卒業していったらいいの?
今日はおしゃぶりのそんな質問にお答えしながら、解説したいと思います。
吸啜反射とおしゃぶりの生理的意義
新生児〜乳児期(生後0〜6か月頃)は、生理的な吸啜(きゅうてつ)反射が強くみられる時期です。吸啜には以下のような生理的効果が知られています。
・自律神経系の安定化
・入眠の補助効果
・情緒の安定(セルフコンソレーション=自分で気持ちを落ち着ける行動)の促進
また、American Academy of Pediatrics(AAP)は、おしゃぶりを使用することでSIDSリスクが低下するという報告しています。
1歳以降のリスクと影響
おしゃぶりの「メリット」があるのも事実。
しかし、1歳を過ぎると「リスク」も目立ってくると言われているんですね。
1歳、これはまさに離乳の時期に当たりますが、赤ちゃんの口腔機能が「吸う」から「噛む・話す」へと大きく変化する時期。発達段階に応じておしゃぶりを卒業しない場合、以下のようなリスクが報告されています。
1. 歯列・咬合への影響
長期使用により開咬(上下の前歯がかみ合わない状態)や交叉咬合が生じることがあります。これらは口腔機能発達不全症の一因となることがあります。
2. 発語への影響
おしゃぶりの長時間使用は、舌の可動性や構音の練習機会を減少させ、発語を遅らせる可能性が指摘されています。
3. 情緒的依存
おしゃぶりが情緒安定の唯一の手段となると、睡眠時や外出時における依存が強まり、親子双方にとって卒業が難しくなる場合があります。
おしゃぶりの考え方:現在のスタンダード
小児科と小児歯科の保険検討委員会は2005年におしゃぶりについて以下のような見解を出しています。
(1) 発語やことばを覚える 1 歳過ぎになったら、おしゃぶりのフォルダーを外して、常時使用しないようにする。
(2) 遅くとも 2 歳半までに使用を中止するようにする。
(3) おしゃぶりを使用している間も、声かけや一緒に遊ぶなどの子どもとのふれあいを大切にして、子どもがして欲しいことや、したいことを満足させるように心がける。子育ての手抜きとし便利性からだけでおしゃぶりを使用しないようにする。
(4) おしゃぶりだけでなく指しゃぶりも習慣づけないようにするには、(3)の方法を行う。
(5) 4 歳以降になってもおしゃぶりが取れない場合は、情緒的な面を考慮してかかりつけの小児科医に相談することが望ましい。
卒業時期の目安と対応
卒業の推奨時期は、1歳〜1歳半頃 が目安とされています。これは、咀嚼・嚥下・構音機能が発達し始めるタイミングと一致します。ではどうやって卒業していくのか?主な方法は下の2つ。
- 使用時間を制限する:使うのを入眠時のみにします。起きているときは興味のあるもので気を引いたり、おしゃぶりに気持ちが向かないように工夫を。
- 代替手段を見つける:お気に入りのタオル、ぬいぐるみ、など、安心するものを渡してみて?
私自身は、お互いに依存する前に、外してしまうのが良いのではと考えています。
できれば6ヶ月くらい。後期健診時くらいには使用タイミングは考えた方が良いかもしれません。
まとめ
- おしゃぶりは0歳児にとって精神的安定のための有効なツールになり得る
- 1歳以降は口腔機能発達への影響を踏まえ、卒業を視野に入れる時期
- 長期使用は歯列・構音・情緒面へのリスクがある
- 1歳〜1歳半を目安に段階的に卒業していきましょう!
どうしても卒業できない…
等のお悩みは、ぐんぐんキッズなかもず院のあかちゃん外来へご相談くださいね。
お待ちしています!
