あかちゃんの発達の大きな変化:三項関係って何?
乳幼児期の発達でとても興味深いのが、「二項関係」から「三項関係」へのジャンプ。
9ヶ月頃に進むと言われこの劇的な変化の時期を「9ヶ月革命」とも言います。
これは、赤ちゃんが「他者」と「自分」だけの世界から、「もの」を交えた複雑な社会的やりとりを学んでいく過程。いわば人間社会に本格デビューする第一歩なのです!!
二項関係:あなたとわたしの世界
生後すぐから始まるのは「二項関係」。
赤ちゃんと養育者(多くの場合は母親など)が、目と目を合わせたり、声で応答し合ったりするやりとりが中心です。
授乳中にじっと目を見る、泣いたら抱っこしてもらえる、声をかけると笑顔が返ってくる——こうした経験を通じて、赤ちゃんは「自分の行動に反応してくれる他者がいる」と学びます。
ここでは「人⇄人」の関係が基本。まだ「モノ」は登場しません。
この時期は、信頼関係や情緒の土台をつくる極めて重要な時間です。
三項関係:あなたとわたしと「もの」の世界
生後9〜12か月頃になると、多くの赤ちゃんが「三項関係」を形成し始めます。
これは「自分」と「他者」に加えて「モノ」に注意を向け、それを共有する関係です。
たとえばあかちゃんが積み木を指差して、親が「積み木だね!」とこたえる。
あるいはボールを転がして、大人と交互にやりとりする。
このときあかちゃんは、「相手と自分が同じ対象を見ている」という認識を持ち始めます。心理学では「共同注意」と呼ばれ、言語発達や社会性発達の土台になる極めて重要なステップです。
「モノを介したやりとり遊び」が重要な理由
モノを介したやりとりは、ただの“おままごと”ではありません。ここには高度な社会的学びが隠れています。
- 相手と意図を共有する力
指差しやボールの受け渡しを通して、「相手が何を見ているか」「何をしてほしいか」を推測する力が育ちます。これはのちの会話理解の基礎。
ー“私が見ているものを、あなたも見ている”(共同注意)ー - 順番を待つ・交互にやりとる練習
ボール遊びや絵本のページをめくる「やりとり」は、対人関係のリズム感を身につけるチャンス。社会生活で必要な「やりとりの型」の原型です。
①と②が育ってくると、次に③に繋がっていきます。 - 言葉が育ちやすくなる
対象物を共有することで、大人がことばを添えやすくなり、赤ちゃんが意味と音を結びつけるチャンスが増えます。たとえば「ワンワン見て!」「ボール転がしたね!」などという語りかけがわかりやすいですね!
ー“この音(ことば)は、あのモノや出来事を指しているんだ”ー
あかちゃんにとっての”遊び”は全て“学び”
あかちゃんにとって遊びは生活そのもの、そしてそれは全て”学び”と言っても過言ではありません!!
「この子にもっと話しかけなきゃ」と気負うのではなく。いっしょに積み木を見つめたり、ボールを転がしたりしながら、たくさんやりとりして楽しんでください!
このやり取りの“遊び”を通じて、「相手と自分と世界をつなげる」ことができるようになります。
これは人間が社会で生きていくための根っこの部分。「教える」ということがなくても人との関わりの中で、この発達はとても静かに進んでいきます。
こうしてあかちゃんの発達を俯瞰してみると、あかちゃんが本当にすごい力を持っているんだなと心動かされます。大人だって毎日成長はしている。でも、こんなにもダイナミックに、身体も心も、発達も、変化している時期は他にはありませんよね!
そんな視点で伴走してみてください。たくさんの素敵な瞬間を味わってくださいね!
