こんにちは。ぐんぐん院長のサチコです。
HPVワクチンについての3回目。
今回は、男の子のお話です。
「子宮頸がんのワクチンなのに、男の子も受けるんですか?」
「男の子には子宮がないのに、何を予防するの?」
当然の疑問ですよね。
実は「子宮頸がんワクチン」という呼び方が、少し誤解を生みやすいのです。
HPVは、女性だけが感染するウイルスではありません。
男性も感染します。
そして、男性自身の病気の原因にもなります。
男性にもHPVによるがんがあります
HPVは子宮頸がんだけでなく、
- 中咽頭がん
- 肛門がん
- 陰茎がん
- 尖圭コンジローマ
などにも関係します。
中咽頭がんは、日本では年間約4,000人弱の男性が中咽頭部周辺のがんに罹患しており、その約半数にHPVが関与しています。
特に、HPV16型が中咽頭がん症例の約90%を占めており、従来の喫煙や飲酒とは異なる原因で発症するがんとして注目されています。この疾患は従来の検診制度では発見が困難で、症状が進行してから発見されることが多いのが特徴です。
肛門がんについては、年間約500~1000人程度が罹患しており、男女ほぼ同数で発症します。肛門がんは、定期的な検診制度が確立されていないため、予防接種による一次予防が特に重要となります。HPV16型と18型が主な原因となっており、9価ワクチンに含まれる追加の型も予防効果に寄与します。
尖圭コンジローマは良性疾患ですが、外性器や肛門周囲にいぼ状の病変ができ、再発率が非常に高いことが問題となります。治療には外科的切除やレーザー治療が必要で、患者さんの生活の質に大きく影響します。HPV6型と11型が主な原因で、4価・9価両ワクチンで予防可能です。
つまり男の子が接種する第一の目的は、
将来のパートナーを守るためだけではなく、本人の体を守るため
です。
もちろん、感染を広げにくくすることで、将来のパートナーを守ることにもつながります。
でも、女の子を守るために男の子が受ける、というだけではありません。
男の子自身のがん/疾病予防なのです。
HPVは、誰かを責める感染症ではありません
HPVは、多くの人が生涯のどこかで感染する可能性のあるウイルスです。
感染しても症状がないことが多く、いつ、誰から感染したのか分からないことも珍しくありません。
「誰がうつしたの?」
「何か悪いことをしたの?」
そういう病気ではありません。
感染を責めるのではなく、感染する前に男女ともに予防する。
それがHPVワクチンの考え方です。
日本では男の子は任意接種です
2026年現在、国の定期接種として公費で受けられるのは、小学校6年生から高校1年生相当までの女の子です。
男の子も9歳以上でHPVワクチンを接種できますが、現時点では原則として任意接種です。
そのため、費用は自己負担になりますが、自治体によっては独自の助成制度を設けていることもあるため、お住まいの市区町村へ確認してください。
大阪府では現在河内長野市で補助が出ています!残念ながら、堺市はまだです、、、
男の子への接種も9価ワクチンの場合、15歳になる前に1回目を接種すれば原則2回、15歳以降に始める場合は原則3回です。
子どもには、どう説明したらいい?
HPVワクチンの説明をするとき、
「性的な感染について、どこまで話したらいいの?」
と悩む保護者の方もいると思います。
小学生や中学生なら、まずは、
「大人になってからかかることがある、いくつかのがんを予防するワクチンだよ」
「女の子だけではなく、男の子も感染するウイルスなんだよ」
「将来の自分の体を守るために、今受けておくワクチンだよ」
と伝えるところから。
詳しいことは、年齢や理解に合わせて少しずつ。
大切なのは、
恥ずかしい話にしないこと。誰かを責める話にしないこと。
です。
「女の子だけが予防するもの」から「みんなで予防するもの」へ
これまでHPVワクチンは、「女の子の子宮を守るワクチン」として広まってきました。
もちろん、それはとても大切な目的です。
でも本来は、
性別に関係なく、将来のがんや感染症を予防するワクチン
女の子だけが予防の責任を負うのではなく、男の子も自分の体を守るために知っておいてほしい。
費用の負担もあるため、すべてのご家庭が簡単に決められるものではありません。まずは、
「男の子も接種できる」
「男の子本人にもメリットがある」
ということを知っていただけたらと思います。
接種時期や回数、費用について迷う場合は、クリニックへご相談ください!



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